カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新記事
(12/31)
(12/14)
(12/12)
(12/09)
(12/07)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
ひめれん
性別:
女性
ブログ内検索
最古記事
カウンター
アクセス解析
日常のことだったり趣味のことだったり。腐女子、BL、何それ?な方はリターン推奨。
月曜のコナンを見ていて、食事中の石田ボイスは危険だと知った紫月です(盛大に米を噴いた) 昔も、こうやって2人で終電に乗った。
あの時はまだペルソナもシャドウも何も知らない、幸せな子供だった。 2人で窓の外を見て、かわりゆく闇と微かな光の動きを目で追った。 「・・・・おい、何ぼけっとしてんだ」 「あ、いや・・・昔も、この時間の電車に乗ったな、って」 「ああ・・・でも相当昔だろうが」 まだ残暑が残る9月下旬の電車内はクーラーがかかっていた。 終電で人がいないから電車内はいつもよりも冷え込んでいる。 ひんやりとした空気の中、真田は長くため息をついた。 それを、ちら、と見て、荒垣は視線をまた自分の足元に落とした。 「お前も俺も、ずっと窓の外を見ていたよな」 「覚えてねぇ」 多分本当は覚えている。そう思えた。 ただ、今は過去を思い出したくないだけだと。 あの頃の甘かった、世界の偽りの上に立って幸せそうな顔をする自分を。 もう、今は、そんな顔を出来ない。誰かに甘えられない。 偽りを知った、人殺しを知った、自分の甘さを知った、今。 電車のガタガタという音だけが沈黙の中に響く。 今いる車両に誰もいない。2人だけが、少し離れて座って、うつむいている。 2人とも、何を話そうなんてことは考えていなかった。 話すことなんて、ひとつくらいしか思いつかない、から。 真田は顔をあげて、首をひねり、窓から風景を見た。 夜闇の中で、光が流れていく。橙、黄色、色々な光が流れていく。 前見た風景と同じだ、と思う。 当然変わっているところはあるが、受ける感じはいつまでも一緒。 (あたたかい、な) 窓の外の光は、闇の中だからなのか、すごくあたたかく思えた。 ひんやりとした空気の中、こうこうと自分たちを照らす光は、こわい。 動かない光、永遠に自分たちを照らす光。 (永遠、というのは、こわいな) ふと、思う。 人にとっても、動植物にとっても、全てのものにおいてありえないもの。 「ずっと」「永遠」、終わりが来ないものは、ありえないから、こわい。 そう、ありえない。 「・・・なんだぁ?人の顔をジロジロ見んじゃねぇよ」 荒垣はダルそうに真田の顔をかるくはたいた。 「シンジは、ずっと・・・・」 「あぁ?」 怪訝そうな荒垣の顔を振り切るように視線からはずした。 アナウンスが聞こえる。この駅で降りなければ。 「俺は行くところがある、先に寮に帰ってろ」 荒垣の言葉にうなずいて、真田は電車から降りる。 途端に身をつつんだ生暖かい空気は、冷えた体にここちよかった。 「ずっと・・・」 荒垣がうつむいているのを見つめる。少しも動かない。 無機質な光の中で、うつむき動かない荒垣を、冷たい箱が、連れ去ろうとする。 「ぁ・・・――――シンジ!」 何か不安になって、呼んだものの、発車ベルにかき消される。 そのままドアは閉まって、電車は荒垣をそのまま、連れて行った。 闇の中に消えていく電車を、真田は見つめた。 そして、黒よりもっと暗い、闇に塗りつぶされるように電車は消えた。 冷たい箱は規則正しく動き、動かない荒垣を無機質な光で照らしながら闇へ連れて行く。 まるで、温もりや、あたたかな光から遠ざけて、いくように。 もう止められないそれはまるで葬列の棺よ (シンジがずっとそばにいるなんておもっていない) (けれど、連れて行かないでほしかった) PR この記事にコメントする
Powered by 忍者ブログ
Design by まめの
Copyright c [ 女神症候群 ] All Rights Reserved. http://seesawgoddes.blog.shinobi.jp/ |