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| 日常のことだったり趣味のことだったり。腐女子、BL、何それ?な方はリターン推奨。
月曜のコナンを見ていて、食事中の石田ボイスは危険だと知った紫月です(盛大に米を噴いた) 昔も、こうやって2人で終電に乗った。
あの時はまだペルソナもシャドウも何も知らない、幸せな子供だった。 2人で窓の外を見て、かわりゆく闇と微かな光の動きを目で追った。 「・・・・おい、何ぼけっとしてんだ」 「あ、いや・・・昔も、この時間の電車に乗ったな、って」 「ああ・・・でも相当昔だろうが」 まだ残暑が残る9月下旬の電車内はクーラーがかかっていた。 終電で人がいないから電車内はいつもよりも冷え込んでいる。 ひんやりとした空気の中、真田は長くため息をついた。 それを、ちら、と見て、荒垣は視線をまた自分の足元に落とした。 「お前も俺も、ずっと窓の外を見ていたよな」 「覚えてねぇ」 多分本当は覚えている。そう思えた。 ただ、今は過去を思い出したくないだけだと。 あの頃の甘かった、世界の偽りの上に立って幸せそうな顔をする自分を。 もう、今は、そんな顔を出来ない。誰かに甘えられない。 偽りを知った、人殺しを知った、自分の甘さを知った、今。 電車のガタガタという音だけが沈黙の中に響く。 今いる車両に誰もいない。2人だけが、少し離れて座って、うつむいている。 2人とも、何を話そうなんてことは考えていなかった。 話すことなんて、ひとつくらいしか思いつかない、から。 真田は顔をあげて、首をひねり、窓から風景を見た。 夜闇の中で、光が流れていく。橙、黄色、色々な光が流れていく。 前見た風景と同じだ、と思う。 当然変わっているところはあるが、受ける感じはいつまでも一緒。 (あたたかい、な) 窓の外の光は、闇の中だからなのか、すごくあたたかく思えた。 ひんやりとした空気の中、こうこうと自分たちを照らす光は、こわい。 動かない光、永遠に自分たちを照らす光。 (永遠、というのは、こわいな) ふと、思う。 人にとっても、動植物にとっても、全てのものにおいてありえないもの。 「ずっと」「永遠」、終わりが来ないものは、ありえないから、こわい。 そう、ありえない。 「・・・なんだぁ?人の顔をジロジロ見んじゃねぇよ」 荒垣はダルそうに真田の顔をかるくはたいた。 「シンジは、ずっと・・・・」 「あぁ?」 怪訝そうな荒垣の顔を振り切るように視線からはずした。 アナウンスが聞こえる。この駅で降りなければ。 「俺は行くところがある、先に寮に帰ってろ」 荒垣の言葉にうなずいて、真田は電車から降りる。 途端に身をつつんだ生暖かい空気は、冷えた体にここちよかった。 「ずっと・・・」 荒垣がうつむいているのを見つめる。少しも動かない。 無機質な光の中で、うつむき動かない荒垣を、冷たい箱が、連れ去ろうとする。 「ぁ・・・――――シンジ!」 何か不安になって、呼んだものの、発車ベルにかき消される。 そのままドアは閉まって、電車は荒垣をそのまま、連れて行った。 闇の中に消えていく電車を、真田は見つめた。 そして、黒よりもっと暗い、闇に塗りつぶされるように電車は消えた。 冷たい箱は規則正しく動き、動かない荒垣を無機質な光で照らしながら闇へ連れて行く。 まるで、温もりや、あたたかな光から遠ざけて、いくように。 もう止められないそれはまるで葬列の棺よ (シンジがずっとそばにいるなんておもっていない) (けれど、連れて行かないでほしかった) PR この記事にコメントする
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