人に公開する初SS・・・携帯で打ったのをPCに送ったんですが疲れた・・・
妙に変なところで改行されてますし・・・やめよう今度から;;
荒真第一弾。ロストムーンシリーズであと三つくらい行きます。
読みたい方は「追いかける?」から、どぞ。
この二年は、ただただ無為に生きてきたと思う。
前は生きることに目的はあった。アキを守る。…それだけだが。
前はヤツの方がすごく虚ろな、焦点の合わない目をしていたのに。
いつの間にか逆になっている。
いつの間にかアキの方が生きる目的を見つけていた。
ロストムーン0831
暗い、と思う。いつも見ているから、分かりきったことなのだが。
この溜まり場には日の光は入ってこない。
今は夏だから涼しいと言えば涼しいが…二年前を思い出せば寒々しいとしか思えない。
…何を思ったか、自分でもよく分からなかったが急に外…というか表に出たくなった。
(青空か…ったくいつの記憶だ)
思考は分からなかったものの心に浮かぶものがあった。
青い空。入道雲。蝉の声。焼き付く地面。草いきれ。
…今の溜まり場からは空は見えない。
(…はがくれ)
自分で自分の意味不明な行動に理由を付ける。
そしてコツとブーツをアスファルトに打ちつけ、歩きだした。
確かに空は青かった。少し向こうに分厚い雲が見えたが。夕立になるんだろう。
(そういえば)
一昨日アキが明後日はまたお前のところに行くからな、とか何とか言っていたのを思い出す。
溜まり場にいた方が良かったかと思ったがはがくれにいたらすぐに見つかるだろう。
そのままコツコツとはがくれへ向かう。(何気にしてんだか)
自分に舌打ちする。歩みはいつの間にか止まっていた。
夏の太陽は容赦なく全てに鋭い光を差してくる。
なんだか、アキに似てるな、と思う。
あの鋭い眼光と相手が誰でも壁をつくらない(というか基本他人に興味がない)性格。
けれどヤツは俺にだけは無邪気に残酷な要求ばかりする。
(帰ってこいだなんて…あのボケが)
お前のために帰るわけが、ない。
帰るなら、あの少年の側にいてやらなければいけないからだ。
お前のためにはもう生きれない。そう言い切ったところで痛みが押し寄せる。
体が崩れた。雨がポツと降ってきた。
(…っ…くそ…発作…!)
夕立が降ってきても動けなかった。
発作は薬を飲んで収まるのを待つしかない。
ごく、と水なしで固いそれを飲み込む。かみ砕くのは後味が嫌いだ。
荒い息を吐いて空を見上げる。灰色の暗い空から打ちつけられる槍のような雨。
(槍…か…)
一昨日アキから聞いたあの少年の話。槍をその柔らかな小さな手に握るらしい。
そしてその槍でシャドウを鮮やかに狩っていたとか。
雨が激しく打ちつけて、痛い。
少年は自分を恨んでいるだろう。その槍はそのために握っているのだろうか。
…ざくっ。ふいに雨の音が、あの音に聞こえた。
二年前に聞いた、血しぶきが飛んだ、あの日の
(ぐ、ッ……ぁ…)
ざくざくざくざく。ざくざくざくざく。ざくざくざくざくざくざくざく・・・・
ざーーーーっ・・・・・ざくざくざく・・・・
ざくざくざくざくざくざく……。さくさく…さくさく…。さく…
雨が止んだと理解するのに少しの間が開いた。頭の中で音はしていたから。
発作はもう収まっていた。ゆっくり立ち上がりコートを脱いだ。
下のタートルはあまり濡れていない。・・・ため息をついて空を見上げた。
何の後悔も無さそうなカラリとした青い空が、広がっていて思わずムカついたけれど。
嫌いじゃない。何事も無かったように歩きだした。
柔らかな、夕方のオレンジを背に。
〔ロストムーン0831〕
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